スーツの胸ポケットと腰ポケットの組み合わせを考える
迷ったら、胸ポケットはバルカポケット、腰ポケットはフラップポケットのスーツにするのが無難。
自分の関心のまま吸収したことを共有し、少しでも誰かの役に立てれば・・・!
ということで、今回はスーツの胸ポケットと腰ポケットの組み合わや特徴について個人の考えをご紹介したいと思います。
胸ポケットと腰ポケットの種類やそれぞれの特徴については、以下の記事でご紹介しました。
~初めてのオーダースーツ~ステップ③-2仕様を決める(腰ポケットのデザインを決める)
が、それぞれの組み合わせや、昨今のトレンド(一消費者の観点ですが…)については触れていませんでした。
既製品を見ていると、おおよその組み合わせやトレンドが分かりますので、皆さんのスーツやジャケット選びのご参考になれば幸いです。
目次
主な胸ポケットの主な種類は2つ
胸ポケットだけでも、実は5種類もあります。
- 箱ポケット(ウェルトポケット)
- バルカポケット
- 船ポケット
- パッチポケット
- フラップポケット
ただ、「1」~「3」はよく似ており、主流は「2」のバルカポケットと思われます。
さらに、胸ポケットにフタのようなフラップが付いている「5」のフラップポケットは、ほとんど見かけません。
よって、誤解を恐れず大別すると、胸ポケットは「2」のバルカポケットか、「4」のパッチポケットの2択ということになります。
バルカポケットは、ジャケット本体の生地が直接切られたかのような形状のポケットで、一番おなじみの形状かもしれません。
私の保有しているビームスFのスーツや、オーダーで作ったスーツも「2」のバルカポケットばかりでした。
箱ポケットとバルカポケットの画像付きの説明は、以下のサイトにありましたので、ご参照ください。
スーツのポケットにも幾つか種類がある。理想のスーツスタイルに最短距離で辿りつくための基礎知識
一方、パッチポケットはジャケット本体の生地に切り口は設けず、代わりにその上から布を縫い付けてポケットとするものです。
後ほどご紹介する腰ポケットと同じですが、バルカポケットがドレス寄り、パッチポケットがカジュアル寄りになります。
なお、正式なルール的には胸ポケットに筆記具を挿すのは品のない行為とされています。
じゃあどこまでOKなのかの確認は取れておらず恐縮ですが、いわいるスーツ界の巨匠と言われる方々の着こなしをインスタグラムで見ていると、メガネやサングラスまでは許されるように見受けられます。
主な腰ポケットの種類は2つ
以前の生地でご紹介した腰ポケットの種類は、以下の3つでした。
- フラップポケット
- パッチポケット
- スラントポケット
実はこの他にも種類があり、上記も含めると全部で6種類あります。
- 玉縁ポケット
- フラップポケット
- パッチポケット
- パッチ&フラップポケット
- アコーディオンポケット
- スラントポケット(ハッキングポケット)
「6」のスラントポケットは若い方が着るような細身のスーツでは見かける仕様ですが、昨今のトレンドではほとんど見ない仕様。
「1」、「4」、「5」の仕様についてはスラントポケットよりもさらにレアな仕様です。
ということで、現実的な選択肢としては、ドレス寄りの「2」のフラップポケットか、カジュアル寄りの「3」のパッチポケットになります。
重ねてにはなりますが、腰ポケットの詳細は以下の記事も参照ください。
~初めてのオーダースーツ~ステップ③-2仕様を決める(腰ポケットのデザインを決める)
胸ポケットと腰ポケットのトレンド
一言にポケットと言っても、色々な種類があることをご紹介しました。
が、胸ポケットも腰ポケットも主な種類は2つ。
ということで、2✕2の4パターンの組み合わせが存在することになります。
ただ、大手セレクトショップの既製服の作りや、オーダーサロンの方々の話を聞くと、実際に考えられるのは「1」と「2」の2パターンだと思います。
No. | 胸ポケット | 腰ポケット | 特徴 | |
1 | ドレス寄り パターン | バルカポケット (ドレス寄り) | フラップポケット (ドレス寄り) | 最もドレス寄り。スーツでは一番 安定感のある仕様。 ドレス寄りとはいえ、スーツの生地 によってはオフスタイルも対応できる。 |
2 | カジュアル対応 パターン | バルカポケット (ドレス寄り) | パッチポケット (カジュアル 寄り) | 腰ポケットだけカジュアル仕様のスーツ。 カジュアルな生地でオフでも使いたい 場合は、この仕様もオススメ。 ジャケパン用ジャケットもこの仕様が多い。 |
3 | 完全カジュアル パターン | パッチポケット (カジュアル 寄り) | パッチポケット (カジュアル 寄り) | ブレザーなどのカジュアルアイテム で見られる仕様。 完全カジュアル仕様となるため、 ビジネススーツでこの仕様は 基本的にないと思われる。 |
4 | NG パターン | パッチポケット (カジュアル 寄り) | フラップポケット (ドレス寄り) | 組み合わせとしては、あり得ない。 |
オン・オフ兼用を考えるのであれば、「1」と「2」が選択肢となります。
「3」はコーデュロイやリネンなど、カジュアルな雰囲気も持つ生地に合う仕様です。
完全カジュアル仕様なので、ビジネスシーンに馴染まないためか、既製品ではほとんど見ない仕様です。
ただ、「4」と比較すると、組み合わせとしては全くNGではないです。
むしろ、リゾートで着るようなリネンのセットアップをこの「3」の仕様で作ると、最高にかっこいいと思います。
よって、組み合わせとしてはアリですが、着用シーンが限られるのでほとんど見かけない仕様が「3」です。
なお、「4」はスーツとしては基本的にあり得ない仕様です。
もちろん、お好みで「4」のようなオーダースーツを作ることは可能ですが、現状の既製品では見ない仕様ですし、かなり変わったスーツになる、という点だけ注意が必要です。
迷ったら、胸バルカ✕腰フラップが無難
ということで、胸ポケットと腰ポケットの違いや組み合わせについてご紹介しましたが、以前の記事でも触れたとおり、スーツの雰囲気は生地で決まると思います。
よってポケットの組み合わせも、生地との相性で選ぶのが重要です。
とはいえ、迷ってしまう場合は、個人的には上記「1」の胸ポケットはバルカポケット、腰ポケットはフラップポケットが無難だと思います。
一番ドレス寄りな仕様とはいえ、フランネルやフレスコなどのカジュアルでも対応できる生地であれば、胸バルカ✕腰フラップの仕様でも、オフの日に着ても全然問題ないと思います。
よって、オンにもオフにも対応できる、ある意味一番汎用的な仕様だと思います。
注意点として、先ほど例に上げたコーデュロイや、ネップの混じった生地など、よっぽどカジュアルな生地のスーツの場合は、さすがに「1」の胸バルカ✕腰フラップは馴染みません。
これらの生地の場合は、「2」の胸バルカ✕腰パッチか、「3」の胸パッチ✕腰パッチの仕様と相性が良いので、その点だけ注意が必要です。