サイドアジャスター付きパンツはオジサンが手を出すべきものなのか?
クラッシック感の強いサイドアジャスター付きパンツは、オジサンっぽさが強まる可能性あり。
コーディネートが難しく感じるのであれば、無理に取り入れる必要はない!
自分の関心のまま吸収したことを共有し、少しでも誰かの役に立てれば・・・!
ということで、今回は最近すっかり定番の仕様となった「サイドアジャスター」のパンツについて。
個人的に、近年はメンズのドレスパンツの"大変革点"だと思っています。
下記の記事でもご紹介しましたが、シルエット(裾幅)が細めのものから太めのもの、プリーツもノープリーツのものからツープリーツのものまで、本当に選択肢が増えました。
10年前ぐらいのイタリアンクラシコブーム時の「パンツは細めでノープリーツ」が基本、だった時代を過ごした私としては本当に驚きの状況です。
この”大変革点”の中で出てきた「サイドアジャスター」という仕様。
ベルトループ付きのパンツとどんな点が違うのか、個人の解釈がベースとはなりますが、ご紹介させていただきたいと思います。
なお、他にもパンツに関する記事を過去にいくつか書いていますので、参考になれば幸いです。
パンツの裾(ダブル、シングル、タタキ)はどう仕上げる?ー仕上げ方の違いー
目次
そもそもサイドアジャスターとは?
サイドアジャスターとは、両脇の腰骨あたりにバックル・ストラップやボタン留めのタブが付けられたパンツです。
多くの場合、スラックスに採用される仕様でして、デニムやチノパンには採用されません。
スラックスに採用される、とのことで、大手セレクトショップ等では、スーツの組下のパンツもサイドアジャスターで売られていることがあったりします。
サイドアジャスター仕様のパンツには、ベルトループがありません。
つまりベルトをすることを前提としていないパンツです。
推測にはなりますが、サイドアジャスターのパンツは元々ビスポーク(フルオーダー)の仕様なのではないかと考えています。
ビスポークで仕上げる、ということは自分の体型にマッチしたパンツができる。そんなパンツであれば、動いてもズリ落ちてくることがないから、ベルトループはいらない、となったのではと勝手に解釈しています。
ビスポーク由来、ということでクラッシック感が強いのがこのサイドアジャスターの特徴の1つです。
近年のメンズドレスファッションの流れの1つである「クラッシック回帰」の流れを受けて、過去から”復活”を遂げた仕様なのだと思います。
私の記憶が確かであれば、おそらく5~6年前ぐらいから市場に出回り始め、現在でも多くのドレスファッションブランド(PT TORINOやベルナールザンス)が提案しているようです。
ベルトループ付きパンツとの違い
ベルトループ付きパンツとの違いですが、大きく以下の2点が異なります。
- 「持ち出し」が長めで、クラッシックな雰囲気が強い。
- サイドアジャスターにより、ウェスト周りの微調整が可能で、若干の体重変化にも対応できる。
「1」の「持ち出し」とは、以下の画像の部分です。
サイドアジャスター付きのパンツは、この持ち出しの部分が長くなっており、ベルトをしなくてもクラッシックかつ、スッキリした見映えになります。
この持ち出しが長い、という点はタックイン(シャツやニットをパンツの中に入れる)した際のデザイン上、ベルトループ付きパンツとの最も大きな違いになります。
(以下の「補足」でも書きましたが、タックアウトするのであれば、見映え上の違いはありません。)
「2」はストラップタイプの場合はストラップを緩めれば、ボタン留めの場合はボタンを緩めることで、ウェストを2cmぐらいは調整できる、ということです。
若干であれば体重変動があっても対応できる仕様ですし、食事後など一時的にお腹周りがきつくなっても、アジャスターを調整するだけで、サクッとウェストを出したりできるので、この点は割と便利です。
オジサンは取り入れるべきか?
さてこのサイドアジャスター、近年出てきた仕様であり、街中でもサイドアジャスター付きのパンツを履かれている方はほとんど見ず、一般的には浸透していないと思います。
ただし、いわいるオシャレ着を扱うBEAMSに代表されるようなセレクトショップ等では普通に展開されており、その意味でメンズドレスファッション市場にはすっかり定着した感があります。
つまり、一過性の流行ものの仕様ではない、と思われます。
では、オシャレを目指すオジサンが取り入れるべきなのか?と言われると、個人的には無理に取り入れなくて良いと思います。
先ほどご紹介したとり、サイドアジャスターはビスポーク由来であることや、タックイン時に腰回りがスッキリ見えることから、ベルトループ付きのパンツと比較すると、相対的にクラッシック要素が強い仕様です。
ということは、コーディネート全体を上手にまとめないと、「オジサンっぽさが増す」結果になる可能性があるということです。
この点、ベルトループのパンツはベルトで雰囲気を調整できることが強みです。
メッシュベルトであれば軽快感を、レザーのクロコ型押しのベルトにすればクラッシック感もほんのり出すことができます。
またサイドアジャスター付きのパンツが出てきたからと言って、ベルトループ付きのパンツが古くなったわけでもありません。
ということで「なんだかベルトがないと不安だ」という場合や、「コーディネートが難しいのでは」と感じられる場合は、無理に手を出す必要はないのかな、と思っています。
注意点:ベルトループ付きパンツのベルトなしタックインについて
ここで、サイドアジャスター付きパンツはベルトをしない(正確にはベルトループがないので、できない)、という点から、
「結局、ベルトループ付きパンツでも、ベルトなしにすれば同じなんじゃない?」
という意見があるかもしれません。
確かに「ベルトをしない」という意味では同じですが、個人的にはベルトループ付きのスラックスはベルトをした方が良いと思います。
理由は、
- ベルトループ付きのスラックスでベルトをしないと、ベルトループだけが目立ってしまうこと
- サイドアジャスター付きパンツのように持ち出しが長くないことが多いため、腰回りがしまりのない印象になる
この2点の理由は、かなり個人の主観が入っておりますので、あくまでご参考としていただければと思いますが…やはり、ベルトループ付きのスラックスではベルトをすることをオススメします。
なお、上記はスラックスが前提です。
デニム等のカジュアルパンツの場合は、ベルトなしで履くのもコーディネート的にアリのようなので、上記の限りではありません。
補足:タックアウトするのであれば、どっちでも同じ
ここまで、タックイン(シャツやニットをパンツの中に入れる)の前提で、サイドアジャスター付きパンツとベルトループ付きパンツの見映えの違いや雰囲気の違いをご紹介しました。
ではタックアウト(ニットをパンツの外に出す)する場合はどうなるかというと、両者に特に違いはありません。
なぜなら、両者の違いである腰部分がタックアウトにより見えなくなるからです。
わざわざ書く必要はなかったかもしれませんが、タックアウトして履くのであれば、デザイン上はほぼおなじになると思います。